「便利なぶんだけ、闇も深い」NPO法人関係者が語るネットの世界

MENU

「便利なぶんだけ、闇も深い」NPO法人関係者が語るネットの世界

30代女性の方より頂いたメッセージです。

私は以前、とあるNPO法人でアルバイトをしていました。そのNPO法人は、インターネットに関するトラブルについて啓発活動をする団体で、当時の私の担当は、インターネットトラブルに関する相談を電話で受け付ける係でした。

 

当時、インターネットは今ほど普及しておらず、誰もがスマホやパソコンを持っているような時代ではありませんでした。私自身も、ようやくガラケーからスマホに切り替えた頃で、それほどインターネットに詳しいというわけではありませんでした。

 

そのため、インターネットに関するトラブルがそんなにも多いのだろうか?と半信半疑でした。私はあくまでアルバイトで、電話受付だけだと思っていたので、そこまで深刻には考えていなかったのです。

子供たちが抱える闇と感受性の豊かさ

子供

実際に電話相談を受けてみて、驚きました。本気で悩んで電話をしてくる人が、とても多いのです。当時はチェーンメールが流行っていた時代でもあり、そのメールひとつに本気で恐がって泣きながら電話をしてくる子供もいるし、実際にゲーム課金などで金銭の被害に合ってしまった人もいました。まだオンラインゲームやソーシャルゲームも出たばかりで、相談がとても多かったのです。

 

その当時の私は、インターネットを使うといっても、ネットで好きな芸能人を検索するくらいしかしていませんでした。だから、インターネットは便利なものだとしか認識していませんでした。けれど、電話相談を受けるたびに、こんなにもインターネットのには暗い部分があるんだと思い知っていきました。特に、真剣に悩んで電話をかけてくる子供に寄り添うのは、胸が痛くてたまりませんでした。大人から見れば、チェーンメールや、ネット上の軽い悪口は「見なければいい」と思うかもしれませんし、実際、見なければいいのです。けれど、子供の感受性は、それをスルーできません。話を聞きながら、こっちまで辛くなってしまうことも何度もありました。その反面、メールでの相談にいたずらメールや誹謗中傷を送ってくる人もいるので、溜め息を漏らしたくなります。

 

当時を思い返してみれば、SNSやインターネットでの誹謗中傷は、今よりまだまだマシだったのかもしれません。それとも、表面化していなかっただけでしょうか。自宅にインターネットを使える環境が整っていなかったり、スマホを持っていなかったり。その場合は不便だけれど、ネットの闇の部分は見なくて済みます。今現在、私はスマホもパソコンも所持していて、SNSもやっています。とても便利です。けれど、ごくたまに、すべてのネットの繋がりを断ってしまいたいと思う時もあります。繋がりすぎている、と感じる時があるのです。インターネットで周りと繋がることで、見たくないものまで見えてしまう、そのことに疲れてしまうのです。とても便利な時代になったけれど、便利になればなるほど、闇も深くなっていくような気がするのです。

インターネットの光と闇

SNS

だけど、私はインターネットの便利さを知らない頃には戻れないと思います。SNSもソーシャルゲームも楽しいですし、繋がっていないことが不安、という気持ちもあります。今でも時々、泣きながらネットのトラブル窓口に相談してきた子供たちのことを思い出します。チェーンメールが恐い、殺されてしまうかもしれないと、泣きながら相談してきた子供たちです。文字だけなのに、なんの根拠もないのに、こんなにも他人を傷つけてしまう世界なんだということを自覚してインターネットを使うようにしています。そんな考え方がちゃんと広がってくれればいいけれど、今でもSNS上は誹謗中傷で溢れているし、綺麗事だけではうまくいかない世界だということも思い知っています。せめて私だけでも正しい使い方をしたいと強く思います。

ネットを絶ち現実世界の人間関係を大事にする夫

夫婦

ところで、私の夫はインターネットをほとんどしません。SNSもいっさいしていませんし、スマホに余計なアプリも入れていません。そんな夫を見ていると、たまに羨ましくなります。インターネットの暗い闇を、まだ知らないこと。それに、夫自身も、そんなものは見たくないと言っているので、便利なものには裏があるということをなんとなく理解しているのだと思います。一度でも便利さを知ってしまったら、もう戻れないことも。SNS疲れしたりすると、夫を羨ましいなぁと心の底から思います。繋がっていないと不安と言いますが、インターネット全般に興味がない夫は、しっかり友人たちと繋がっています。インターネットなんかなくても、人は繋がることができるんだなぁ…と、しみじみ思いました。

 

インターネットの全てを否定するわけではありません。むしろ、便利な面が多いと思います。ただ、便利なだけでは済まないのも事実です。きちんと見極めて使わなければ、自分が傷付いてしまうこともあるし、下手すると自分が傷付ける側に回ってしまうことも。傷付けるつもりがなかったにも関わらず、です。悪人でもなんでもない普通の人が加害者になり得る恐い世界だと実感しているので、扱い方を間違えないようにしようと思っています。